ベクレルだとかシーベルトだとか - 暫定規制値の取り扱い
最近よく耳にするフレーズといえば、「暫定規制値を超える○○が検出されました」と「通常の○○倍の放射線が測定されました」だ。これらのフレーズのあとにたいてい続くのが「直ちに健康に影響を及ぼす数値ではない」である。「直ちに健康に影響を及ぼす値ではない」と言うと、「長期的には影響が出るかもしれない」と心配する人がいて当然だ。「短期的にも長期的にも影響は出ない」と、はっきり言えばいいのにと思う。
私の認識によると、暫定規制値というのは、一定量を 1 年間継続して摂取し続けたときに、健康に影響が出るかもしれないと考えられる数値である。たとえば、ある食品から暫定規制値の 2 倍の放射性物質が検出されたとする。このような場合、その食品を一定量 180 日間毎日摂取し続けて初めて暫定規制値に達することになる。つまり、「暫定規制値の 2 倍の放射性物質が検出されました」は、正しくは「暫定規制値の 180 分の 1 の放射性物質が検出されました」と言うべきなんじゃなかろうか、と思うわけである。
特定の作物から、暫定規制値を超える放射性物質が検出されたからといって、直ちにそれを出荷規制したり摂取規制したりするのはなぜ?もちろん、健康に関することだから、いくら慎重になっても慎重になり過ぎるってことはないんだろうが、それでも、あまりにも慎重過ぎると思う。だいたい、暫定規制値自体もかなり安全側に配慮した、つまり厳しい値であるということだし。
昨日あれだけ騒がれた東京都の水も、翌日には乳児に対する摂取制限も解除になったとのこと。もし、このまま低い値が続けばただ混乱を発生させただけである。暫定規制値とは累積的な数値なんだから、ある程度経過を見て、累積値が暫定規制値の半分くらいになった時点(たとえば、放射性物質が暫定規制値の 2 倍の場合は、その値が 90 日続いた時点)で、出荷規制なり、摂取制限なりをすればいいのにと、私は素人考えで思うのだが・・・・・・。
水の場合は、経済的な損失を受ける人はあまりいないと思われるが、気の毒なのは福島および関東の農家の人たちである。なんで、こんな理論的におかしな数値のために、風評被害に遭わなければいけないのだ。地震や津波は天災だけど、今回の出荷・摂取制限の措置とそれに伴う風評被害は完全に人災である。
これ以上、風評被害が拡大しないためにも、そして原発周辺の人が安心して暮らせるようになるためにも、1 日も早く原発問題が終息してくれることを願って寝ることにします。