なでしこジャパンと国民栄誉賞
なでしこジャパンに国民栄誉賞を授与する方針を政府が固めたとのこと。政権浮揚を目的とした政治利用であると批判している人もいるが、枝野官房長官が「このことで政権浮揚できるならこんな楽なことはない」と言っているように、こんなことで政府に対する不信感が払拭されるはずはなく、この批判自体は的外れのような気がする。
私は、なでしこジャパンに賞を授与することには決して反対ではない。今回の彼女たちの快挙は、震災で暗くなっている日本国民に大きな勇気や元気を与えたことは紛れもない事実である。だから、何らかの形で表彰するのは賛成だ。しかし、それは国民栄誉賞なんだろうか。過去には、どんな人が国民栄誉賞を受賞しているのか気になったので調べてみた。受賞者は以下のとおり(受賞順)。
- 王貞治
- 古賀正男
- 長谷川一夫
- 植村直己
- 山下泰裕
- 衣笠祥雄
- 美空ひばり
- 千代の富士
- 藤山一郎
- 長谷川町子
- 服部良一
- 渥美清
- 吉田正
- 黒澤明
- 高橋尚子
- 遠藤実
- 森光子
- 森繁久弥
受賞者はほとんどスポーツ、芸能分野の人たち。それ以外の人は植村直己さんくらい。もちろん、過去に団体が受賞した例はない。過去の受賞例を鑑みると、なでしこジャパンに国民栄誉賞を与えるのはちょっと違うのではないかと思う。なでしこが国民栄誉賞であれば、WBC で二連覇を遂げた日本の野球チームも国民栄誉賞に値する。スポーツ以外の分野でも、チームとして何かを成し遂げた団体もきっとあるはずだ(たとえばはやぶさのプロジェクトチームとか)。
これをきっかけに、国民栄誉賞とは別に、偉業や快挙を成し遂げた団体やチームを対象とした賞を設立したらどうだろうか。「日本を元気にしたで賞」ではちょっと軽過ぎるだろうから、「国民希望賞」とか「国民士気高揚賞」とか(名称は、もっといいものをセンスある人に考えてもらうとして)。どちらにしても、今回のなでしこの快挙をきっかけに、日本が立ち直りに向けて前進することを願う。
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