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天使のささやきと悪魔のつぶやき

 午前 11 時。血液検査と腹部の CT 撮影が終わり、結果が出るのを待っていた。検査の結果を待っている間ほど嫌な時間はない。「絶対に大丈夫。何も異常は見つからないよ」。そう天使がささやく。そして、次の瞬間には「もう手遅れかもしれないよ。これまで不摂生してきたつけだと思って、覚悟しなよ」と悪魔がつぶやく。今まで、何度も検査を受けてきたが、何回やっても結果が出るまでの時間は嫌なものだ。検査後、私の頭の中ではいつも、天使と悪魔がこんなふうに喧嘩する。

 異変を感じたのは 2 週間ほど前。右の脇腹に違和感があり、鈍い痛みを感じ始めたのだ。症状が和らぐ気配はなく、日々悪くなる。私の右の腎臓には石ができている。このことは数年前に発覚している。だから、この腎臓結石のせいだろうと判断して泌尿器科に行ったのが昨日のことである。診察の結果、脇腹の違和感・痛みは、腎臓結石の影響ではないとのこと。その泌尿器科の紹介で、別の消化器官専門の内科に行く。

 2 軒目の病院では、胆嚢にポリープができていることが判明したが、医者によると「別に深刻になる必要はないとのこと」。私のような小心者は、「胆嚢にポリープ」などというフレーズを聞くだけで卒倒しそうになるが、特にこれが症状に影響していることはなく、特に治療も必要ないという。今回の脇腹の違和感と痛みの原因として、肝臓や十二指腸に何か問題があるかもしれないから、詳しい検査をしておいたらどうかと勧められた。

 そういうわけで、私は朝から市内の総合病院に来ている。検査が終って 40 分ほど経ったころ私の名前が呼ばれた。恐る恐る診察室に入る。
「うーむ」と先生がうなるので、悪い結果だったのだろうかと心配になる。
「見事に何もないです」と先生が言う。
「はい?」と私が聞き返す。
「血液検査の結果を見ても、CT 画像を見ても何も異常が見あたらないです。だったら、何っていう感じです」
私がうったえるような症状を引き起こすような原因が何もないとのことだ。何も異常がなかったことには安心したが、原因がわからないということはこの症状を解消できないということか?

 1 つ考えられる原因として、上行結腸にガスや便が溜まっているのかもしれないということであった。整腸剤を 1 週間ほど飲んで様子を見ることなった。これで、不快な症状が解消されることを願うばかりである。

 この 1 週間、この症状のせいで不安な毎日を過ごしてきたが、1 つだけいいこともあった。それは、アルコールを控えたことで、長い間越えられなかった大きな壁を越えることができたことである。その壁とは、65 kg の壁だ。今年の 3 月 1 日にダイエットを開始して、69.2 kg あった体重が 3 カ月後の 6 月初旬には 4 kg 減の 65.2 kg にまで落ちたが、その後 3 カ月ずっと 65 kg 台が続いており、65 kg の壁が超えられずにいた。安心して、今日からバカ食いバカ飲みすることなく、64 キロ台を維持し 63 キロ台に突入せねば。

 とにかく、何もなくてよかった。感謝。感謝。






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