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マイブームは生物学(文系でも楽しく読める生物学の本)

 最近のマイブームは生物学。図書館に行ってはせっせと生物学関係の本を借りている。学生のころわりと好きだった生物学をちょっと勉強してみたくなったというのが主な理由だが、ひょっとしたら仕事の範囲が少しでも広がるかもしれないという期待も少しある。

 しかし、図書館で目を通した時にはおもしろそうだと思った本でも、読み進めるうちにだんだん難しくなってきて、私のような基礎知識がない人間にとっては退屈になってくる。基礎知識がない文系の人間でも楽しく読める生物学の本を求めて、『ぼくの生物学講義―人間を知る手がかり』という本を借りてみた。図書館でちらっと中身を覗いただけでもすごくおもしろそうだった。涼しい場所で何かを飲みながら本を読みたくなったので近くの喫茶店に入ることにした。

 この本は、清華大学で実際に行われた半年間の講義をまとめたものらしい。サブタイトルが示すように、「人間とはいかなるものか」についての、生物学の視点からの講義とのこと。第1講は、人間がいかに変な動物かについて書かれている。たとえば、哺乳類の別名「ケモノ」は「毛もの」であり、「毛の生えたもの」という意味なに、人間は唯一毛のないケモノだとか。実際に教室で講義を聞いているような感じでとてもおもしろい。

 夢中になって読んでいると、隣でひとりでアイスコーヒーを飲んでいたおじいさんのテーブルに知り合いのおじいさんがやって来た。あとからやって来たおじいさんは「わし、100歳になってタバコ止めたんや」などと得意げに言っている。元からいたおじいさんも(見たところ80歳くらいか)、「あんたえらいなあ。タバコは身体に悪いから、わしも止めんなあかんわ」などと、タバコを止めた100 歳のおじいさんのことをしきりに感心している。「100歳までそうやって健康に生きてきたんやから、いまさらタバコ止めんでもええんと違うの」と思いながらふたりのおじいさんの会話を聞いていたのだが、自分の健康や長生きすることを考えて、生活習慣を変えるのも人間だけだろうなあなどと考えていた。

 閑話休題。『ぼくの生物学講義』は、老眼が進行して最近一段と本を読むのが億劫になってきている私が一気に読んでしまうほどおもしろかった。人間という動物の生物的な観点からの特異性がよくわかった。具体的には、体毛、おっぱい、言語、遺伝子、社会、種族の維持、結婚、オスとメス、イマジネーションなどについて、人間がいかに変わっているかがわかりやすいことばで丁寧に説明されていた。ある意味、生物学の枠を超えて人間について書かれた人間学の本と呼んでもいいのかもしれない。

 あまりにもおもしろかったので、読み終えたときに「『ぼくの生物学講義』がおもしろかった」とツイートしたら、複数の方から「日高敏隆先生の本はほかにもいっぱいおもしろい本がある」というリプライをいただいた。日高先生のほかの著書もいろいろ読んでみたくなった。

ぼくの生物学講義―人間を知る手がかりぼくの生物学講義―人間を知る手がかり
日高 敏隆

人間はどこまで動物か (新潮文庫) 世界を、こんなふうに見てごらん 春の数えかた (新潮文庫) 世界を、こんなふうに見てごらん (集英社文庫) ネコはどうしてわがままか (新潮文庫)

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