[音楽] カテゴリー

音楽に関連する雑談


うどん屋で告井さんの一人ビートルズを堪能

 楽しみにしていた告井さんの一人ビートルズのライブに行ってきた。ライブの正式名称は「Sgt. Tugei's Only One Club Band! 告井延隆/一人ビートルズ弾き語らず講座」だ。告井さんは、日本最古のバンド「センチメンタル・シティ・ロマンス」のリーダーであり、最近はアコースティック・ギター1本でビートルズサウンドを再現するプロジェクトを繰り広げているらしい。今年の初めにWebでライブ配信された告井さんの演奏(告井延隆のひとりビートルズがやってくる!ヤア!ヤア!ヤア!)を偶然耳にして、機会があれば生で見てみたいと思っていたのだ。

絹延橋うどん研究所の告井さんの一人ビートルズのライブ

 その告井さんが川西にやって来ることを知ったのが1カ月ほど前。ライブの会場は絹延橋うどん研究所(エントリー「うどん研究所に行って来ました」を参照)。新潟のうどん屋からの紹介で実現したそうだ。世の中にうどん屋は数多くあるが、ライブをやるうどん屋はそんなにないと思う(告井さんもうどん好き。私もうどん好き。うどんきっかけで広がる世界)。うどん屋のライブらしく、ワンドリンクまたはワンうどん付きだ(笑)。30分ほど前に絹延橋うどん研究所に到着。ビールを飲みながらライブの開始を待つ。うどんをすすっている人もいる。開演時間が近づくとビートルズ好きがわんさかと集まってきた。

間もなくライブが始まります

 待つこと30分。告井さんが登場する。オープニング曲ははライブタイトルの「Sgt. Tugei's Only One Club Band」。もちろん、ビートルズの「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」の替え歌である。歌付きの演奏はこの1曲のみで、2曲め以降はギター演奏のみ。アコースティック・ギター1本によるビートルズサウンドの再現が始まった。たっぷり 2 時間半、35曲も演奏してくれた。

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かわいい二千円札には旅をさせろ

 先日、近畿地方が梅雨入りしたと発表された。5 月に梅雨入りというのはあまり記憶にないが、今年の梅雨入りは史上 3 番目に早い梅雨入りらしい。梅雨入りが早いということは、梅雨明けも早く、陽射しギラギラの夏が長いということである。暑さに弱い私は今からもう憂鬱になっている。

 今週の火曜日、知り合いが結成している「私たち何も知らないんです」というユニットのライブに行ってきた。島唄あり、フラメンコありの楽しいライブで、うっとおしい梅雨も吹き飛ぶような楽しい時間を過ごせた。川西市内のキッチンポットという店で行われたこのライブの代金は1,500 円で 2 ドリンク付き。しかも、多少であれば飲食物の持ち込みも可とのこと。何と良心的な店だ。休憩を挟んで 1 時間半、音楽と踊りを満喫した。

 このライブの代金を支払った時、お釣りとして珍しいものが私の手元にやって来た。幻の二千円札だ。発行された直後に 1 回か 2 回お目にかかったきり、長い間お目にかかっていない。先日ちょうど、「最近二千円札って全然見てないから久しぶりに見てみたい」などと妻に話していたばかりである。

 せっかくだから使わずに手元に置いておこうかとも思ったが、金は天下の回りものと言うので、自分のところでせき止めずに、世の中に放流することにした。ただし、そのまま手放すのも何となく惜しいので、ちょっとした印を付けておくことにした。右下の角に小さく「9246」と書き込んだのだ。これを読んだ人の手元に渡ったらおもしろいだろうな。この二千円札を手にした方はご一報ください。

二千円札

第 1 四半期終了(福島県まであと少しのところでベベチオのライブに遭遇)

 今日で 3 月も終わり。2013 年もすでに 4 分の 1 が 過ぎたことになる。2013 年の第 1 四半期は、仕事面でもプライベート面でもまずまずだった。特に仕事面では、いろいろとおもしろい変化があり、来月以降の動向が楽しみである。

 毎日 3 キロ歩くことを目標に続けている散歩も順調に続けらている。今年になってまだ 1 日も休んでいない。今日現在の累積歩行距離は 309.73 キロ。今年から始めたバーチャル奥の細道ウォーキングで言うと、那須芦野(栃木県)の手前まで到達したことなる。福島県まであと少しだ。

 今日はウォーキングに出たついでに、ベベチオという川西出身のミュージシャンのライブ(無料)に立ち寄ってみた。ライブの開始要諦時刻の 14:00 前にアステ川西に行ってみると、寛平ちゃんの来場時ほどではなかったが、たくさんの人が集まっていた。14:00 きっかりにライブが始まる。ゆずみたいな感じの二人組。30 分弱で4 曲ほどのミニライブだったが、なかなかよかった。

ベベチオのライブ@アステ川西

 最後に演奏された『黄緑先生』という曲の PV は川西でロケを行い川西の風景がいっぱい出てくるとのことだったので、さっそく YouTube で探してみた。能勢電(阪急電車)以外の風景は、見たことがあるような、ないような。

 奥の細道ウォーキングの現在位置はこの辺り。


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奥の細道ウォーキング計画の記録

音と灯りのお祭り「音灯り」に行って来ました

 昨日の文化の日は、かわにし音灯り 2012 というイベントに行ってみた。東日本大震災をきっかけに、川西まつりのプリイベントとして昨年から始められたものらしい。イベント名からもわかるように音楽と灯りのお祭り。ツイッターで知り合いになったフラメンコの先生も出演されると聞いて、そのフラメンコのパフォーマンスと 1 万個のキャンドルの灯りをちらっと見てみようと思ったのだ。

 会場に到着したのは午後 5 時前。ちょうど Itomi Flamenco Estudio のフラメンコパフォーマンスが始まったところだった。フラメンコを生で見るのは初めてだったけど、音楽と踊りのコンビネーションが素晴らしく見入ってしまった。

かわにし音灯り 2012 のフラメンコショー

 フラメンコのショーが終わり日没の時間になると、キャンドルに火が灯された。キャンドルシェードに書かれた市民のメッセージや絵などを 1 つ 1 つ見ているだけでも楽しい。晩秋の闇が深まるに連れて、キャンドルの灯りが美しく浮かび上がった。ステージでは、名前を知らないギタリストのギター演奏が始まる。ジャジーな感じの演奏もありこれにも聴き入ってしまった。

かわにし音灯り 2012 のキャンドル

 しばらくすると、1 万個の灯りに囲まれて TeN というバンドの演奏が始まる。こういう音楽はスキャットと呼ぶんだろうか。太陽君という少年のボイスパーカッションも素晴らしく、すっかり魅了されてしまった。

かわにし音灯り 2012 の TeN の演奏

 まだまだ聴いていたかったのだが、寒くなってきたのと、お腹がすいたのと、日本シリーズを観たいという理由で、7 時前に会場をあとにした。正直に言って、特に有名なミュージシャンが参加するわけでなはないので、ライブ演奏にはそれほど期待していなかったのだが、なかなかどうしての内容だった。プロのミュージシャンの演奏を生で聴くのはやっぱりいい。こんなに素晴らしいイベントだと知っていれば、開始時刻の 1 時から来ればよかった。来年は是非とも、最初から最後まで参加したい。とても有意義に過ごせた 2012 年の文化の日のでした(かわにし音灯りのその他の写真はこちら)。

かわにし音灯り 2012 のキャンドル

『家政婦のミタ』と『ラブユー東京』

 昨夜は 2 つのテレビ番組を観て過ごした。1 つは『家政婦のミタ』の最終回。もう 1 つはテレビ東京系列で放映していた、1960 年代と 1970 年代のヒット曲を紹介する番組。

 昨年大きな話題になった『家政婦のミタ』。再放送をやることがあったら是非観たいと思っていたのだが、今月の 12 日から日テレプラスで再放送が開始されたので、楽しく視聴していた。昨夜は録画していた最終回を観る。最初は、あまりにも現実離れした設定がちょっと漫画チックでおもしろいくらいにしか思っていなかったのだが、「承知しました」や「あります」といった台詞とともに、業務を淡々とこなすミタさんを見ているうちに、だんだんミタさん中毒になってきた。

 最終回はミタさんが見せた人間らしさに少しウルウルきてしまった。希望が見えるハッピーな終わり方にほっとする。昨年世間が大騒ぎし、視聴率の記録を樹立するほどのおもしろさだとは思わなかったが、最近のドラマの中ではまあまあよくできていたと思う。このところおもしろいドラマが少ないので、1 週間に 1 つくらいは次回が待ち遠しいドラマがあればいいのにと思う。

 もう 1 つの番組は、タイトルは忘れたが 1960 年~ 1979 年の各年のヒット曲トップ 5 を紹介する番組。私が生まれてから 19 歳になるまでに流行った曲ということになるので、興味津々で観ていた。その中で、これはと思った曲が 2 つあった。1966 年にヒットした黒沢明とロス・プリモスの『ラブユー東京』と 1968 年に流行ったピンキーとキラーズの『恋の季節』だ。

 「七色の虹が消えてしまったの」で始まる『ラブユー東京』は、私が初めて歌詞をすべて覚え、ひとりで最初から最後まで歌いきった曲。扇子か何かをマイク代わりにし、母親の三面鏡に自分の姿を映し、歌手になった気分で悦に入っていたことを記憶している。『恋の季節』は初めてリアルタイムで経験した大ヒット曲。皆が「忘れられないの~」と歌っていた。

 60 年代と 70 年代のグループ名の特徴は、実質的に 1 つのグループであるにも関わらず、「○○ と ○○」という名前を付けること。先に挙げた、黒沢明とロス・プリモスやピンキーとキラーズも然り。ほかにも、鶴岡正義と東京ロマンチカや内山田洋とクールファイブなど、数多くの「○○ と ○○」が存在した。かぐや姫も最初は南こうせつとかぐや姫だったし。当時はこういうグループ名が粋だったんでしょうね。

 ほかにも懐かしい曲はいっぱいあったが、話し出したらきりがないのでこのあたりで止めておく。

B006J42K5O「家政婦のミタ」DVD-BOX
バップ 2012-04-18

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BGM はお経 + ジャズ

 私は普段ラジオを聴きながら仕事をしてるのだが、ラジオだとついつい話に聞き入ってしまうことがある。集中したいときなどは、ラジオはあまりいい BGM とは言えない。そんなときは、普通の 音楽 CD を BGM に仕事をすることもある。できれば歌詞がない楽器だけの音楽が理想的だ。

 先日ラジオを聴いていたら、『慈愛 LOVE』という CD を紹介していた。お経とジャズが融合した CD で、一目惚れ、いや一聴き惚れしてしまった。BGM に最適な CD だと思い、早速 Amazon で購入。

 今日、その CD が届いた。早速 CD プレーヤーにセットして聴いてみる。お経とジャズの融合というよりも、お経をバックにピアノやギターが鳴っているといった感じ。何という心地よさだ。まるで、宇宙空間を漂っているような、いや自分が宇宙になってしまいそうな気持ちよさである。曲間には小川のせせらぎなんかも入っていて、まさに究極の癒しの CD。

 お経 BGM の効果かどうかわからないが、今日はずいぶん仕事が進んだ。あと少し、お経をバックに仕事に集中して、遅れを取り戻すことにする。しばらくの間、この「お経 + ジャズ」ワールドにはまりそうである。色即是空 空即是空。

 お経と音楽と言えば、確か三國 連太郎主演の映画で、お経をバックにクラシック音楽を演奏するシーンがあった。三國さんがオーケストラを指揮するやつ。あれ、何という映画だったかな。


B003XGIDMU慈愛 LOVE
山下洋輔 日野皓正 安達久美 岡本博文
バウンディ 2010-10-06

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小唄にまつわるエトセトラ

 以前のエントリー「細胞に浸み込んでいる歌」で、私の細胞には『琵琶湖就航の歌』が浸み込んでいると書いたが、私の細胞のもっと奥深くには、別の歌が浸み込んでいるかもしれないと思い始めた。おりに触れ、その歌を口ずさんでいることに気付いたのだ。

 私の口をついて出るのはある歌の一節。「恋にもいろいろありまして、ヒゴイにマゴイは池の鯉」と「好きで好きで大好きで、死ぬ程好きなお方でも」という一節である。前者は『まつの木小唄』、後者は『お座敷小唄』だ。何となく切なくてきゅんとしてしまう歌詞が、若いころから何となく好きだった。

 小唄と名が付くものは、『まつの木小唄』と『お座敷小唄』以外では、『ラバウル小唄』と『軍隊小唄』が思い浮かぶ。ほかにどんなものがあるのか、YouTube で検索してみたら『海軍小唄』という小唄を発見。再生してみると、「汽車の窓から手を握り、送ってくれた人よりも」という歌詞が流れる。どこかで聴いたことがある歌詞とメロディだと思ったら、ドリフターズの『ドリフのズンドコ節』だ。もちろん、『海軍小唄』のほうが元歌である。

 そもそも、小唄とは何なのか。気になったので調べてみると、新明解辞典では「端唄((ハウタ))の一種。短い歌詞を三味線の伴奏で歌うもの」となっている。端唄とは何だ。同辞典によると、「技巧の少ない自由な形式の短い俗謡。多く三味線に合わせて歌う」歌らしい。よくわからないので、コトバンクで調べてみると、以下のように定義されていた。

明治末期から昭和にかけて、主にレコードで用いられた流行歌謡の分類。俗曲・小唄2・民謡などの調べを持つもののほか、新作も多く、内容は多様。(小唄@コトバンク

 わかるような、わからないような説明であるが、要するに昔の流行歌ということか。

 『お座敷小唄』の歌詞について、長い間ずっと疑問に思っていることがある。以下の歌詞についてである。

富士の高嶺に 降る雪も
京都先斗町に 降る雪も
雪に変わりは ないじゃなし
とけて流れりゃ 皆同じ
お座敷小唄 松尾和子&和田弘とマヒナスターズ 歌詞情報 - goo 音楽

 疑問に思うのは、「雪に変わりは ないじゃなし」という部分。「とけて流れりゃ皆同じ」と続いているのだから、「どこに降る雪であろうと、雪に変わりはない」という意味である。それならば、「雪に変わりがあるじゃなし」となるべきだと思うのだが。「変わりはないじゃなし」だと、「変わりがないことはない」、つまり「富士山に降る雪と、京都先斗町に降る雪は、同じ雪ではない」という意味になってしまう。話しことばで、「変わりがないんじゃない?」と語尾を上げれば、「変わりはない」という意味であるが、「ないじゃなし」はそのようには解釈できない。どうもすっきりしない。




参考・参照サイト

YouTube をテレビで見る

 「YouTube の動画を DVD に焼いて、テレビで見ることってできひんの?」と妻が言うので、「たぶんできると思うで」と答え Google 先生に聞いてみた。その結果、2 種類のアプリケーションがいることが判明した。動画ダウンロードソフトと DVD オーサンリングソフトである。

 動画ダウンロードソフトは、Craving Explorer が評判がよさそうだったので、これをダウンロードしてインストールした(詳細は、YouTube などの動画をダウンロードして PC に保存する@PC Bibo 6 に記載したのでそちらを参照)。DVD オーサリングソフトは、Windows Vista/7 に付属している Windows DVD メーカーを使うことにした。 

 ためしに、YouTube で椎名林檎の動画を探して、DVD に焼いてみた(手順については、YouTube などの動画を DVD に焼いて DVD プレイヤーで再生する@PC Bibo 6 に記載したのでそちらを参照)。書き込むのにかなりの時間(1 時間くらい)がかかったが、簡単に DVD が作成できた。DVD プレーヤーに挿入すると、テレビ画面にこんな感じのメニュー画面が表示される。

Windows DVD メーカーで作成した DVD のメニュー画面

 [再生] を選択すると先頭から再生が開始し、[クリップリスト] を選択すると、クリップの一覧が表示され、そこから目的のクリップを選べる([再生] や [クリップリスト] などのメニューテキストには、任意の文字列を指定できる)。元の動画の品質があまりよくないため、大きな TV 画面で見るとかなり粗い画像になるが、YouTube の動画をテレビ画面で見られるのは楽しい。注意点は、録画用の DVD ではなく PC データ用の DVD ディスクを使うことである。しばらくの間、YouTube の DVD 化はマイブームになりそうである。

 作成した「椎名林檎クリップ集」の DVD に書き込んだ最初の曲はやっぱりこれ。

薄く切ったオレンジをアイスティーに浮かべて

薄く切ったオレンジをアイスティーに浮かべて 日中にウォーキングをすると汗が出る季節になった。今年の夏は昨年ほどの猛暑にならないようだが、それでもやっぱり日本の夏は暑い。夏が来ると思うだけで、げんなりしてしまう。

 私が子どもころは、クーラーがある家などほとんどなかった。昼間は今と同じくらい暑かったと思うが、ほとんどの人がクーラーを使っていなかった分、夜は今よりもいくぶんか涼しかったような気がする。また、少しでも気分的に涼しくなるような工夫をいろいろしていた。日本の夏に清涼感を与えてくれるものと言えば、風鈴、すいか、浴衣、金魚、朝顔などが思い浮かぶ。

 歌番組などで、夏の歌、冬の歌などをランキング形式で特集していることがある。夏に聴くと清涼感を与えてくれる歌のランキングがあるとしたら、私は迷うことなく『カナリア諸島にて』を選ぶだろう。1981 年に大ヒットした大滝詠一のアルバム『A Long Vacation』に収録されている曲だ。アルバム全体に南国ムードが漂っていて、どの曲も清涼感を与えてくれるのだが、その中でもダントツなのが『カナリア諸島にて』である。

 大学生の頃、耳にたこができるほど聴いたこの曲の最も印象的な部分は、「薄く切ったオレンジをアイスティーに浮かべて」という冒頭の歌詞である。それまで、レモンの薄切りが入ったアイスティーは飲んだことがあるが、オレンジを入れたアイスティーなんて知らなかったし、そんな飲み方があるのかと思ったものだ。

 先日あるラジオ番組で久しぶりに『カナリア諸島にて』を耳にした。懐かしさとともに、「薄く切ったオレンジをアイスティーに浮かべて」飲んでみたいという気持ちがむくむくと湧いてきたので、ウォーキングに出かけたついでにオレンジを購入。さっそく作ってみた。初めて飲むオレンジ入りのアイスティーは、ほのかにオレンジの香りがして、少しだけ南国気分と清涼感を味わえた。この夏の定番にすることに決定。





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細胞に浸み込んでいる歌

 先日ラジオを聴いていたら、ハイヒールリンゴさんが、「人にはそれぞれ細胞に浸み込んでいる歌がある」というようなことを言っていた。相方のモモコさんは、気がつくと「あんたがたどこさ、肥後さ、肥後どこさ」と口ずさんでいるそうである。リンゴさんが言うには、「モモコの細胞には『あんたがたどこさ』が浸み込んでいる」のだそうだ。

 細胞に浸み込んでいる歌とは、好きとか嫌いとかを超えて、細胞の奥深くに潜り込み、気が付くと口ずさんでいたり、耳にするとなぜか魂や細胞が反応してしまったりする歌のことなんだろうか。普段よく聴く歌、好きな歌、いい歌とはちょっと違うのだろう。

 細胞に浸み込んでいる歌と言われて、真っ先に思いつくのが阪神ファンにとっての『六甲おろし』である。『六甲おろし』が流れると、阪神ファンの細胞が踊るであろうことは、阪神ファンでない私にもたやすく想像できる。関西に住んでいると、ことあるごとに『六甲おろし』が流れるので、もしかすると『六甲おろし』は私の細胞にもすでに浸み込んでいるのかもしれない。

 もっと広い範囲で、日本人全般の細胞に浸み込んでいる歌と言えば、文部省唱歌とか童謡が挙げられるかもしれない。私の場合、『仰げば尊し』とか『赤とんぼ』を聴くと細胞が反応しているような気がする。東日本大震災の被災地でアマチュアミュージシャンがよく演奏していたのが、『故郷』だった。「うさぎ 追いしかの山」というやつである。悪い歌とは言わないが、誰もが真っ先に「好きな歌」に挙げるような歌でもない。しかし、この歌を聴いて、被災地の多くの方が涙を流していた。私が同じ立場だったら、やっぱり涙があふれ出ていたかもしれない。程度は人によって違うだろうが、『故郷』はあまねく日本人の細胞に浸み込んでいるのかもしれない。ひょっとすると、私が田舎生まれだからそう感じるだけであって、都会生まれで都会育ちの人たちの細胞に『故郷』は浸み込んでいないのかもしれないが。

 細胞に浸み込んでいる歌は、人によっては演歌だったり、校歌だったりするんだろうが、私の細胞がなぜか反応してしまう歌がある。『琵琶湖就航の歌』である。私は滋賀県民でもないし、琵琶湖とも何のかかわりもないのであるが、この歌を聴くとどういったわけか懐かしさを感じて、感傷モードに入ってしまう。


 

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