本末転倒
最近妻は、たらみのゼロカロリーゼリーとかいうものを好んで食べているようである。お腹がすいたときに何か食べたいけど、カロリーの高いものは避けたいからという理由で食べているのだという。
たらみのゼロカロリーゼリー
しかし、よく考えてみるととってもおかしな話である。人間は、いやすべての動物はずっと飢えと戦ったきたわけであり、いかに食料を確保するか、いかにカロリーの高い食品を効率よく摂取するかが最大の課題だったはずである。ご飯をたらふく食べたあとでも、甘いものなら食べられられる「別腹」という現象は、飢餓に備えて高カロリーのものはできるだけ摂取しておこうという人間(動物)のハイカロリー指向を象徴している機能である。
だから、ゼロカロリーのものをわざわざお金を出して買って食べるというのは本末転倒な行為である。なるべく安くてカロリーの高いものを求めるのが本来の姿である。巷には、低カロリー、カロリーオフ、ゼロカロリーを謳った商品があふれかえっている。どれもこれも本末転倒な商品だ。
そう言えば、昔これとよく似た話があったなあと思って考えていたら、筒井康隆の『にぎやかな未来』という本に、本末転倒を題材にしたショートショートが収録されていたことを思い出した。
常にレコードをかけていないと罰せられるという変な法律ができている、未来の様子を描いた話だったと思う。町には CM の音楽が騒々しく流れ、レコードには広告が挿入されるようになっていて、私たちは常に CM を無理り聴かされている状況になっていた。そんな世の中でいちばん高価なレコードは、何も音が入っていない無音のレコードだった。たしか、こんな感じの話だった。
未来の話なのに、CD じゃなくてレコードっていうところが玉に瑕ではあるが、まあそれは仕方ないか。
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