キャベツみたいなやつ
そいつは路地裏のこぢんまりとした園芸店で、私に「買ってください」と嘆願していた。普段は通らないような路地裏に、何かに誘われるたようにふらふらと入ってしまったのは、こいつが私を呼んでいたからなのか。
私に買って欲しそうは顔をしていたのは、キャベツみたいなやつだ。植物には詳しくないので正式な名前はわからない。でも、ここでこいつを見捨てたら後悔するような気がしたので、園芸店の店員に 50 円を支払って、そいつを引き取ることにした。家に帰って、ちゃんとした鉢に植え替えてやった。水をやると、心なしかしゃんとして元気になったような気がする。
こぢんまりした園芸店で、「買ってくれ」と嘆願していた「キャベツみたいなやつ」
このキャベツみたいなやつの本名は何というんだろう。気になったので調べてみることにした。Google の検索画面で「キャベツみたいな」まで入力すると、候補として「キャベツみたいな花」が表示されたので、それを選択する。いろいろなサイトを読んでみた結果、こいつの本名は「ハボタン(葉牡丹)」というらしい。古い品種のキャベツ、またはケールが主に観賞用として栽培されるようになったとのこと。やっぱりキャベツの仲間だ。ということは、大きく育てて食べることもできるということか。
こいつが成長して、今後どんな姿になるのかちょっと楽しみである。本当のキャベツみたいになって食べようとしたら、きっと「食べないでくれ~」と嘆願してくるんだろうなあ。
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