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「(笑)」について考える

飲食店のメッセージ 時代とともに多くの新しいものが生まれ、流行り、そして廃れていく。インターネット上で使われる「(笑)」もその 1 つである(最近の SNS では、「w」「ww」「www」や顔文字が「(笑い)」に取って代わりつつあり、「(笑)」は廃れつつある感はあるが)。世の中で「(笑)」が使われるようになったのは、インターネットや電子メールが普及し出したころだから 15 年ほど前か。文字だけのコミュニケーションと言えば、昔は手紙しかなかった。しかも、普段顔を合わせる友だちと手紙をやりとりすることなどなかった(せいぜい年賀状くらい)ので、「(笑)」を使う機会も必要性もなかった。

 「(笑)」はネット上だけに留まっていない。先日大阪のお初天神に行ったときのこと。ある店の入口に写真のようなメッセージが書いてあった。送りがな、漢字とかなの使い分け、括弧類の使い方などとは異なり、「(笑)」の使い方については正しい用法のガイドラインといったものは当然存在しない。どういう使い方が正しくてどういう使い方間違っているといった基準もない。各人が好きなように使用すればいい。そう断った上で、私が考える正しい「(笑)」の使い方について少し書いてみたい(あくまでも個人的見解)。

 まず写真の「(笑)」の使い方は私的には NG。「パッパラーに来るとアホになります(笑)」は大阪らしいおふざけなのだが、この「(笑)」でせっかくのジョークが台無しになっているような気がする。「(笑)」がないほうが絶対におもしろい。そもそも「(笑)」が生まれた理由は、相手の表情が見えない文字情報だけでは、その発言が本気なのか冗談なのか区別がつかないときに、「冗談ですよ」と伝えるためだと思う。「パッパラーに来るとアホになります」は冗談であることは明らかだ。内容そのものがおもしろいのだから「(笑)」は必要ない。

 おもしろいことを言おうとするときに、笑ったり、「おもしろいこと言いますよ」感を出したりする人がいるが、おもしろいことは普通の表情で、普通の口調でさり気なく言うほうがおもしろい。本人が笑ってしまうとおもしろさが半減するものだ。そういう意味では、いちばんおもしろいのは天然ボケの人の発言だ。本人におもいしろいことを言っている自覚がまったくないのだから、これほどおもしろいものはない。ただ、天然ボケも度が過ぎると、時と場合によってはイラっとするが。

 閑話休題。「(笑)」の本来の使い方は、「冗談ですよ」「怒っているわけではありませんよ」「本気じゃないですよ」と伝えるためである。したがって、そのままでは相手に誤解されるおそれがあるときに使う。たとえば、「また酔っ払ってるんですか」と文字だけで発言した場合、非難している、または嫌味を言っていると受け取られるおそれがある。そんなときに「また酔っ払ってるんですか(笑)」とすれば、ずいぶん柔らかい感じになるし、「笑いながら(冗談で)言ってますよ」と伝えられる。発言内容がまじめなときやきつく響きそうな時こそが「(笑)」の出番だ。

 ただ、「(笑)」を付けたからといって、相手に絶対に不快感を与えないという保証はないので、極力使わないように心がけている。最近よく使われる「w」(「ww」「www」)は、「笑」の頭文字らしいが(私は What a wonderful world の頭字語だと思っていた)、これもあまり多用しないように注意している。本当は、「(笑)」も「w」も使わずに冗談を言っていることがわかるような書き方をするのがいちばんいいと思う。






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