めざしは魚にあらず
私は、ふとしたことからことばの由来や物の名称が気になることがよくある。そして、いったん気になると、それを調べて解明しないと気がすまない。今日は、翻訳原稿で「目指す」ということばを目にした瞬間、魚の「めざし」は何かを目指した結果「目指し」と呼ばれるようになったんだろうかと、妙な疑問を抱いてしまった。そうであれば、めざしはロマンチックな魚である。
調べてみると、めざしは「目刺し」であることが判明した。目に棒を突き刺した状態で売られていたから「目刺し」なのだそうだ。生物学的な特徴ではなく、人間の商業活動が名前の由来だったことを知り、何だか切なくなった。さらに、いろいろなサイトを調べているうちに、「魚の食べ物語源」というサイトで、「マイワシなどに塩をふり、数尾ずつ竹やわらで目のところを刺し連ねて乾かした食品」という説明を発見。なんと、目刺しは食品の名称であって、魚の名前ではないとのこと。目刺しの正体は鰯だったのだ。そんなこと全然知らなかった。こんなこと日本人なら誰でも知ってる常識なんだろうか。そうだとすれば、無知をさらけ出しているようで恥ずかしいが、知らないものは仕方がない。
人間いくつになっても知らないことだらけだ。昨日は、「一期一会」は井伊直弼が作ったことばだという事実を知って、大きな声で「へえ~」と言ってしまった次第である。ことばの由来や隠された意味を知ることはいと楽しである。
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