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お車の運転などは大丈夫ですか?

 12 時をちょっと過ぎていただろうか。税務署に行ったついでにその近くの王将に入る。店内はごった返している。けっこう広い店なのに満席だ。10 分ほど待つ。名前が呼ばれ、カウンター席に案内された。ミニ天津飯と餃子を注文する。最近、王将ではこの組み合わせばかり食べている。

 隣の席が空き、中年男性が座る。
「ミニラーメンとミニチャーハンと生ビール中」
とその男性が注文。「昼間っからビールか。ええなあ」などと思っていると
「お車の運転などは大丈夫ですか?」
と店員が聞く。この発言の意図はわかる。平たく言うと「車で来てないでしょうね。車で来てるんだったら飲ませませんよ」ということなんだろう。おそらく、車で来ていることを知っていながら飲ませたら、店側も法的な責任を問われるのだと思う。だから、アルコールを注文した客に対しては、車で来店していないことを確認することがマニュアルで決められているのであろうことは容易に想像できる。

 もちろん、車で来店していないことを確認することは重要なことなのだが、「お車の運転などは大丈夫ですか」は曖昧さの固まりのような質問だ。ひねくれて考えるなら、「ビールを飲んでもちゃんと運転できますか」と聞いているようにも解釈できる。あとで、問題になったときに、客は「ビールを飲んでもちゃんと運転できるかとは聞かれたけど、車で来ているなら飲ませないとは言われなかった」と言うかもしれない。

 法的責任という観点からすれば、「お車でご来店のお客様にはアルコール類は販売できない規則になっておりますが、お車でご来店ではないですよね」などと言うべきだ。しかし、ここまで言ってしまうと何だか上から目線っぽくてあまりいい感じはしない。「お車でご来店されてませんね」あたりが適当かもしれない。

 「お車の運転などは大丈夫ですか?」という質問はいかにも日本(語)的だ。「全部言わなくても、言いたいことはわかるでしょ。察してくださいね」的な要素が満載である。しかし、こういう曖昧さやふんわりした言い回しは日本人と日本語のいいところでもある。そんなことをぼんやり考えながら天津飯と餃子を堪能した今日のランチタイムだった。






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