「ちょける」と「おちょける」の謎
大阪生まれ、尼崎育ちの生粋の関西人である女優の牧野エミさんが、ラジオで「おちょける」という表現を使っていた。日常的に使ったり聞いたりすることばでないが、私にとって「おちょける」はなじみがないことばでなかったし、意味も知っていた(「ふざける」という意味)。関西人ならだれもが知っている、標準関西語だと思っていた。
ためしに、普段使っている新明解国語辞典と広辞苑を引いてみてが、どちらもに「おちょける」は記載されていなかった。関西弁だから載っていないのかと思って、Weblio で調べてみたら名古屋弁で「ふざける」の意味だと記載されている。関西弁だと思っていたのに、名古屋弁だとはびっくり。このことをツイッターでつぶやいたら、意外にも多くの反応があった。
私と同じ三重出身の関西在住の方からは、「三重では『ちょける』は使っていたけど、関西では聞いたことがない」という情報をいただいた。また、関西のほとんどの方は、「ちょける」も「おちょける」も聞いたことがないという。また、「ちょけた兄ちゃん」など、「ちょけた」という形容詞はあるけど、動詞として「ちょける」はないという意見もあった。和歌山(白浜)の方は、「おちょける」をよく使うという。
再度、Weblio で「ちょける」を引いてみると、三重県四日市市と大阪の方言だと記載されている。意味は「おちょける」と同じで「ふざける」だ。
私はこれまで、三重で 19 年、愛知で 4 年、大阪で 10 年、兵庫で 18 年暮らして来た。 だから、「おちょける」や「ちょける」を知っているといっても、どこにいるときにそれを聞いて使っていたのかは、不明確な部分がある。ひょっとして、「ちょける」や「おちょける」は三重が本家本元なのかもしれない。名古屋が本家ということもありえる。でも、Sooda というサイトの「ちょける」に関する質問のページでは、「ちょける」も「おちょける」も関西弁だと解説している。
「ちょける」と「おちょける」はいったいどこのことばなのか。謎は深まるばかりである。ちなみに「ちょける」の標準語は「ちょうける」らしいが、「ちょうける」こそ聞いたことがない。
comments
はじめまして。Twitterからやってきました。
私は生まれも育ちも大阪ですが、「ちょける」は知っています。「おちょける」という言い方は初めて知りました。「ちょけ」と名詞としても使いますよ。「あの子は「ちょけ」やから~(あの子はすぐふざけるから、のような意味)」というように。
方言の話は尽きませんね。面白いです。
◎WILL◎さん、コメントありがとうございます。生まれも育ちも大阪の方から、「ちょける」を知っていると聞き、すこしほっとしています。「ちょける」と「おちょける」については、同じ大阪(関西)でも、地域差があるみたいですね。名詞で「ちょけ」と使うとのことですが、「おちょけ」は使いませんか?
方言はおもしろいです。これからも、いろいろな方言について考察していきたいと思います。