北斎展に行ってきました
最後に肉眼で富士山を見たのはいつだろうか。5 年前か、それとも 10 年前か。東京に行った際に新幹線の中から見たような気もするが、いつのことだったのか思い出せない。関東の人にとって、富士山が見える風景は日常的に見慣れたものなのだろうが、西日本に住む人間にとって富士山は非日常である。たまに画像や映像で富士山を見ると、本当にきれいだと思う。富士山には日本人の心をくすぐる何かがある。
富士山と言えば葛飾北斎。普段、美術展などにはまったく興味が無い私なのだが、北斎の富嶽三十六景にだけはなぜか心を惹かれる。その富嶽三十六景を含めた北斎の作品展が大阪市立美術館で 10 月 30 日から開催されていることを知り、是非とも行きたいと思っていた。ずっと仕事が忙しく、なかなか行けなかったのだが、展示最終日の 12 月 9 日まであと 5 日と迫った今日ようやく行くことができた。
北斎展が開催されている大阪市立美術館は天王寺公園内にある。Web で割り引き券のページを印刷していったので、通常なら 1,300 円のところを 1,200 円で入場できた。天王寺公園内を標識に従って歩くと、 5 分ほどで大阪市立美術館に到着。
美術館内は平日とは思えない人ごみ。順路の最後列に並ぶ。全然進まない。普通の風景画は間近で見えなくてもいいやと思い、人ごみのうしろからチラチラと覗き込むことにして時間を節約。順路を進むと、東海道五十三次の風景画が展示されている。東海道五十三次と言えば歌川広重だが、北斎も東海道五十三次を描いていたことを知り、少しびっくり。
さらに順路を進むと、いよいよお目当ての富嶽三十六景の展示コーナー。これを見たくて来たのだから、一枚一枚間近でしっかり見る。決して写実的な絵ではないに、当時の空気感までが伝わってくるような迫力。1830 年代に描かれたものらしいので、今から 200 年近くも前の作品ということになる。200 年前の江戸時代の人たちも、現代人が見ているのと同じ富士山を眺めて、精一杯その時代を生きていたんだなあと思うと、ちょっと感慨深いものがある。さらにすごいのは、富嶽三十六景は北斎が 70 代のときの作品だということだ。自分が 70 代になったときに、果たしてそんなエネルギーが残っているだろうか。
富嶽三十六景で有名な作品と言えば赤富士と神奈川沖浪裏だが、それ以外で今回私の目を引いたのが、「江戸日本橋」。今はたぶんビルが邪魔してこんな風には見えないんだろうが、当時の江戸における富士山の存在がよくわかっておもしろい。
北斎展を見終わり天王寺駅に向かって歩くと、慶沢園なるものがあった。明治 41 年に造園が開始された林泉回遊式の近代日本庭園らしい。せっかくなので、この慶沢園をそぞろ歩きしてから帰ることにした。
慶沢園は、とても都会のど真ん中にあると思えない美しい庭園だった。天王寺公園は、ちょっと物騒なところというイメージがあったが、なかなか見所が満載のいいところだ。近いうちにまた来たい。
慶沢園のその他の写真はこちら。
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