1 試合で少なくとも 51 人が死ぬスポーツ
セ・リーグのジャイアンツに続き、昨日北海道日本ハムファイターズがパ・リーグの優勝を決めた。ダルビッシュが抜けた今年の日本ハムはあまり強くないだろうという、専門家の大方の評価を覆して見事に優勝。これから、クライマックス・シリーズ、日本シリーズと、野球ファンにとってはワクワクする季節がやってくる。
野球に関して、以前から不思議に思っていたことがある。それは、野球用語にはやたら、「死」とか「殺」とか「刺」という物騒な文字が使われているとういうことだ。まず、1 アウト、2 アウトのことを日本語では、「一死」「二死」と表現する。「死」や「殺」が使われている野球用語には、ざっと思いつくだけで以下のようなものがある。
- 補殺
- 刺殺
- 挟殺
- 封殺
- 併殺
- 左バッター殺し
- ひとり一殺
- 三重殺
- 牽制死
- 盗塁死
- 憤死
また、1 番バッターのことを切り込み隊長、4 番(ホームラン)バッターを大砲・主砲などと呼ぶこともあり、野球ほど戦争を連想させるスポーツはない。日本における野球というスポーツは、1 回の攻撃で 3 人の死者を出すまでに(3 人の死者を犠牲に)、何人を無事自軍の砦(本塁)に生還させるかを競うというコンセプトに基づいている。元々英語のアウトには、死ぬとか殺すという意味はないと思われるが、なぜ日本ではこんなに戦争ちっくなスポーツになってしまったんだろう。野球が日本に入ってきたのは確か明治時代。このころの日本の風潮がそのまま反映されたんだろうか。
野球のもう 1 つの不思議は攻撃と守備。もちろん、バットを持って球を打ち返す側が攻撃側と呼ばれるのだが、私には攻撃と守備が逆に思えて仕方がない。守備側の主役はピッチャー。当たりどころが悪ければ文字通り死んでしまうかもしれない 150 キロの球をバッターに向かって投げる。戦争に例えるなら、これは弾丸もしくは砲弾である。このような恐ろしいものを投げつけてくるのだから、これは明らかに攻撃である。それに、ピッチャーが行動を起こさない限り、バッターは何もできないの。主導権を握っているのはピッチャーだ。どう考えても、主導権を握っている側が攻撃側だと思う。
攻撃を受けたバッターは、恐ろしい弾丸をバットで打ち返さないといけない。打ち返した弾丸が敵に直接取られたり、1 つ目の砦(一塁)に到達するまでに弾丸を砦に返されたりすると、バッターは刺殺される。このような攻撃をかいくぐって、どうにか生き残る率が 3 割を超えていれば一流バッターと呼ばれるのだからおもしろい。
食欲の秋、芸術の秋、スポーツの秋、読書の秋など、秋にはいろんな修飾語が付くが、私にとっては、野球観戦の秋到来だ。
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