大阪でいちばん古いうどん屋で「ささめうどん」を食す
ずっと前から行きたいと思っていた吾妻にようやく行くことができた。吾妻は、川西のお隣池田市にあるうどん屋。元治元年(1864 年)創業の、大阪で最も古いうどん屋らしい。このまま江戸時代に持っていっても違和感がなさそうな雰囲気を漂わしている。
店内に入る。多くのお客さんが静かにうどんを食べている。店構えだけでなく店内も昔風。江戸時代とは言わないが、大正とか昭和初期のうどん屋はこんな感じだったかもしれないと思わせる雰囲気だ。迷わず名物の「ささめうどん」を注文する。ささめうどんとは、かの文豪谷崎潤一郎の奥様が来られていたことをきっかけに名付けられた由緒正しいうどんらしい。待つこと 10 分、ささめうどんがやってきた。
刻み揚げ、蒲鉾、塩昆布、三つ葉など、さまざまな具がちりばめられた、あんかけ仕立てのうどんで、麺は細麺。すり胡麻とおろし生姜の風味が効いている。谷崎潤一郎の奥さんもこれを食べたのかと思うと、谷崎潤一郎ファンとしては感慨もひとしおだ。あんかけなので体がぽかぽかになる。寒い日にぴったりのうどん。いつも食べなれた讃岐うどんとは異なる、コシのないうどんもなかなかのものだった。
店内には、桂三枝師匠を初めとする関西のお笑い芸人の色紙がたくさん飾られていて、名店ふりを示していた。ささめうどん以外に、つるつるしこしこの吾妻うどんも評判がいいらしいので、暖かくなったら、冷たい吾妻うどんを食べてみたい。