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大阪でいちばん古いうどん屋で「ささめうどん」を食す

大阪でいちばん古いうどん屋「吾妻」

 ずっと前から行きたいと思っていた吾妻にようやく行くことができた。吾妻は、川西のお隣池田市にあるうどん屋。元治元年(1864 年)創業の、大阪で最も古いうどん屋らしい。このまま江戸時代に持っていっても違和感がなさそうな雰囲気を漂わしている。

 店内に入る。多くのお客さんが静かにうどんを食べている。店構えだけでなく店内も昔風。江戸時代とは言わないが、大正とか昭和初期のうどん屋はこんな感じだったかもしれないと思わせる雰囲気だ。迷わず名物の「ささめうどん」を注文する。ささめうどんとは、かの文豪谷崎潤一郎の奥様が来られていたことをきっかけに名付けられた由緒正しいうどんらしい。待つこと 10 分、ささめうどんがやってきた。

吾妻名物のささめうどん

 刻み揚げ、蒲鉾、塩昆布、三つ葉など、さまざまな具がちりばめられた、あんかけ仕立てのうどんで、麺は細麺。すり胡麻とおろし生姜の風味が効いている。谷崎潤一郎の奥さんもこれを食べたのかと思うと、谷崎潤一郎ファンとしては感慨もひとしおだ。あんかけなので体がぽかぽかになる。寒い日にぴったりのうどん。いつも食べなれた讃岐うどんとは異なる、コシのないうどんもなかなかのものだった。

店内には関西のお笑い芸人のサインがいっぱい

 店内には、桂三枝師匠を初めとする関西のお笑い芸人の色紙がたくさん飾られていて、名店ふりを示していた。ささめうどん以外に、つるつるしこしこの吾妻うどんも評判がいいらしいので、暖かくなったら、冷たい吾妻うどんを食べてみたい。

日本史の勉強を始めました

 数日前から『もういちど読む山川日本史』という本を読んでいる。高校の日本史の教科書を、一般読者のために書き改めた本であり、日本史の流れを大まかに把握できるようになっている。これを読もうと思ったきっかけは、ここ数年大河ドラマを見ていて、自分の日本史の知識があまりにも欠乏していることを痛感したからである。とりあえずは、『平清盛』をもっと楽しむためにも、平安末期の大まかな時代背景を知りたいと思ったのだ。

 数日前から読み始めて、ちょうど戦国時代のあたりまで読んだ。高校時代は、国際人を目指す自分には日本史なんて必要ないと考え、受験科目には世界史を選択していた。だから、ちゃんと日本史を勉強したのは中学生のときが最後である。学生の時のように、年号を覚えたり、人名とその漢字を覚えたりする必要がないので、小説を読むかのようにどんどん読み進めることができ、歴史の流れを掴みやすい。学生の時に、こういう勉強の仕方ができれば、日本史ももっと楽しかったろうに。

 ここまで日本の歴史を読み進めてきて、へえと思ったことが 2 つあった。1 つは、元寇に関する記述である。日本が元(蒙古)に征服されなかったのは、ひとえに神風と呼ばれる台風のおかげだったと習ったような記憶があったのだが、『もういちど読む山川日本史』によると、日本の武士も相当がんばって抵抗したようである。神風は日本軍勝利の一因に過ぎないとのこと。また、最近では、この事象を元寇ではなく、「蒙古襲来」とか「モンゴル襲来」と称しているようである。

 私たちの時代とは変わっていたことがもう 1 つあった。それは『徒然草』の作者の名前だ。『もういちど読む山川日本史』では、卜部兼好(うらべけんこう)と表記されている。「かつては吉田兼好という名で教科書に登場していた」と注釈が付いている。時代が変わると、数百年前の事象まで変わってしまうんだと驚いた次第である。

 とにかく、試験がない勉強は楽しい。一生懸命覚える必要がない勉強も楽しい。私のように、日本史の知識がほとんどなく、日本の歴史を大雑把に復習したいなあと思っている人には、この本お奨めです。
 

4634590646もういちど読む山川日本史
五味 文彦 鳥海 靖
山川出版社 2009-09

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可愛そうが可哀相

 ある女性の写真を見て、「この人かわいそう」と思わずつぶやいてしまった。その女性のことを決して哀れだと思ったわけではない。その写真には、女性の顔は一部しか写っていなかったのだが、見えている一部の造作や全体的な雰囲気から、おそらくかわいいに違いないと思ったのである。

 「そう(だ)」という日本語には 2 つの用法がある。伝聞の「そうだ」と様態の「そうだ」である。前者は、他の人から聞いたり、読んだりして得られた情報を別の人に伝えるときに使い、後者はその時の様子や状態を自分の感覚や知識で判断するときに使う。

 形容詞の場合は、そのまま「そう(だ)」を付ければ伝聞用法になり、語尾の「い」を取って「そう(だ)」を付けると様態用法になる。たとえば、「この菓子はおいしいそうだ」が伝聞で、「この菓子はおいしそうだ」が様態である。この法則に従えば、「かわいい」の伝聞表現は「かわいいそうだ」、様態表現は「かわいそうだ」となる。しかし、「かわいそう」と言うと、普通は「哀れ」という意味に解釈されてしまう。この場合の「かわいそう」は、漢字で書くと「可哀相」であり、「可愛い」の様態表現「可愛そう」とは全く別のことばである。

 これまで、「可愛い」の様態表現「可愛そう」は文法的には正しくても、理論的にはありえないと思っていた。「おいしい」や「頭がいい」といった属性は、見た目や雰囲気だけでは断定できないものであるため、「おいしそう」や「頭がよさそう」といった推量の様態表現が成立する。しかし、「可愛い」とは見た目そのものの属性であり、自分の目で見れば可愛いか可愛くないかは判断できる。そいういう理由で、「可愛そう(=可愛いと思われる)」という日本語は論理的に成立しないのだと思っていた。

 今回の経験から、「可愛そう」が成立しそうな状況をいろいろ考えてみた。たとえば、近視の人が眼鏡をかけずにテレビを見ているとする。画面に女の子が映る。眼鏡をしていないのでぼんやりとしか見えないが、その人には可愛い女の子のように思える。このケースでは「可愛そうだ」と言えそうだ。また、ペットショップに犬を探しに行ったとする。檻の中に何匹も仔犬がいる。仔犬たちが重なり合っているため、顔がへしゃげてよく見えない仔犬がいるとする。普通に起き上がったら、おそらく可愛いとだろうと思われる仔犬である。この場合は、「この犬可愛そう」と言える。ほかにも、いろいろ「可愛そう」が使えそうな状況はあるのだが、きりがないのでこれくらいにしておく。

 「かわいく見える」と言おうとして「かわいそう」と言ってしまった外国人の失敗談は、笑い話としてよく耳にする。しかし、もし「可哀相」という同音異義語が存在していなかったら、「可愛そう」という表現は立派な日本語として大手を振って歩いてるような気もする。「可哀相」のせいで、間違い日本語代表のような扱いを受けている「可愛そう」が急に「可哀相」になってきた。

カーブ・ドッチからワインが届く

 9 時起床。テレビを見ながらゆっくり朝ごはんを食べる。春眠暁を覚えずのことばどおり、いくら寝ても眠い。メールを書いたり、雑用をしたりして、ようやく 10 時半に仕事を開始。

 11 時ごろ、エントリー「苗木のオーナーになりました」で書いたカーブドッチから、プレゼントのワインが届く。ワインは、赤、白、ロゼの 3 種類から選べるのだが、今回は赤にしてみた。本当のことをいうと、ワインは白がいちばん好きなのだが、ワイン通は赤こそがワインの真髄だと言うし、赤ワインは健康にもいいという理由で赤を選んだ。

 3 時半くらいまで仕事をし、日課のウォーキングに出かける。今日はこれまで、あまり歩いたことがない路地裏を散策してみた。川西は一歩路地裏に入ると、まだまだ昭和っぽい店がある。今日は、ディスプレイに招き猫とタヌキをあほほど並べている、昔風の変わった食堂を見つけた。ちょっと恐ろしい雰囲気が漂っている。見たところ営業しているようだが、この店に入るにはかなり勇気がいる(写真はこちら)。

 今年の初めに、1 年間で東海道を往復する距離を歩くと決めてから、ほとんど毎日ウォーキングを続けている。今年になってからの今日までの累積歩行距離 は 231.28 km。江戸・日本橋から静岡県の袋井あたりまで歩いたことになる。静岡県に入ってからずいぶんになるが、さすがに静岡は東西に長い。

 ウォーキングから帰ったあと、しばらく仕事をして夕食にする。震災チャリティの野球を観戦しながらトマト鍋を食した。楽しみにしていたカーブドッチのワインを開けて、食器棚の奥に眠っていたワイングラスを探し出してワインを注ぐ。ワイン通ではないので、どう表現すればよいのかわからないのだが、適度な辛口で上品な味だった。飲みやすかったため、調子に乗って何杯も飲んでしまった。

カーブドッチの赤ワイン

 3 月 10 日現在のくにしろの現在位置は、江戸・日本橋から 231.28 km の地点。袋井をちょっと過ぎたあたり(地図の B 地点あたり)。


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東海道五十三次ウォーキング計画の記録

ぽかぽか陽気に誘われて

 起きたときはどんよりとした天気だったのに、9 時半くらいには雲の合間から太陽が顔を出し、いつの間にか春らしいぽかぽか陽気になった。こんな日は、松田聖子の歌(赤いスイートピー)みたいに、春色の汽車に乗って、海を見に行きたくなる(春色ってどんな色だろうか。私のイメージでは、若草色もえぎ色だけど)。しかし、仕事があるのでそういうわけにもいかない。それなら、せめて昼ごはんは春らしいものを食べようと決めた。

 12 時に仕事を終え、いそいそと外に出る。向かう先は、前から目をつけていた京風炉端焼きの花格子という店。上品なランチをやっている店だ。あそこらなら、何か春らしいものが食べられそうだ。数種類のランチに中から、いちばん春っぽい「おばんざい定食」を選んだ。たまには、目と舌の両方で食事を味わうのはいいことだ。

花格子のおばんざい定食

 食事のあとは、さらに春を求めて猪名川まで歩く。今朝、ツイッターのフォロワーさんに、「春らしい食べ物といったら土筆。土手に生えている」と教えてもらったので、土筆を探しに行くことにしたのだ。土筆と言えば、子どものころあほほど採って、家で炒めてもらったことがあるが、あまり美味いものではなかった記憶がある。猪名川の土手を土筆を求めて歩いたが、ついに土筆は見つからなかった。そういえば、これまで猪名川の土手で土筆を見た記憶はない。まだ時期が早いのか、それともこの辺りでは土筆が生えないのか。

 土筆は生えていなかったが、せっかくなので春らしい風景を撮ってきた。草花のことはよくわからないのだが、これは菜の花だろうか。

猪名川に咲く菜の花

菜の花や 耳を澄ませて 水の音

 また週末から冬が戻ってくるらしいが、三寒四温を繰り返しながら、徐々に暖かくなっていく 3 月は、12 カ月の中で私がいちばん好きな月だ。

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