卵と玉子
「卵」という字が嫌いだ。もっと正確に言うと、卵焼きやゆで卵など、「たまご」料理の名前に「卵」という字が使われていると気持ちが悪くて仕方がない。自分で書くときは必ず、玉子焼き、ゆで玉子など「玉子」という表記を用いる。「たまご」料理に卵という字を使うと何故こんなに気持ち悪いのか考えてみた。
「『卵』」と『玉子』はどう使い分ければよい?」@日本語不思議辞典や「『卵』と『玉子』の違い、知っていますか?」@たまご通信によると、一般的に以下のような使い分けがあるらしい。
卵 = 生物学的な意味での「たまご」
玉子 = 食材としての「たまご」
なるほど。確かに卵という字は、字の成り立ちから考えても、生物として孵化する可能性がある「たまご」を連想させる。卵焼き、ゆで卵などと書いてあると、羽や足などができかかり、ひよこになりつつある「たまご」を焼いたり、ゆでたりしたような印象を持ってしまう。
さらに、上記の2つのサイトでは、食材としての「たまご」の場合でも、「生の状態のものを「卵」、調理されたものを「玉子」と書くのが一般的であるとしている。しかし、私は生の状態であっても、すき焼き用のソース、たまごかけご飯に使用する「たまご」を「生卵」と書くのはやはり気持ち悪い。たとえ生であっても、食材としてスーパーなどで売られている段階でそれは「生玉子」なのではないかという気がする。私の感覚では、生卵とは、野生のニワトリが自然界で産み、ひよことして孵化する可能性あるものであり、普通は人間が食べることがないものである。
ただし、NHKが字幕で「たまご」という字を使う場合は、生か調理済みかに関係なく「卵」に統一しているとのこと(「卵焼き? 玉子焼き?」@NHK放送文化研究所)。そして、NHKのアンケートによると、半数以上の人が生か調理済みかによって「卵」と「玉子」を使い分けており、若い世代の人ほどその傾向が強いとのこと。卵焼きやゆで卵を気持ち悪いと感じているかどうかは別として、卵焼きやゆで卵といった表記を意図的に使わないのは私だけでではないようである。しかし、生であっても、食材とて売られている以上は「生たまご」も「生玉子」と書かないと気持ち悪く感じる自分は超少数派に分類されると思われる。
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