相撲協会はこんなときだからこそ
震災の影に隠れていた大相撲の八百長問題。今回もまた、人を切ることで決着をつけようとしている。相も変わらず、こんな方法しか思いつかないなんて、つくづくセンスがない人たちだと思う。空気を読めないにもほどがある。
そもそも、人情相撲を含めた八百長の是非という根本的な問題を議論していないことが、今回の最大の問題なのではないかと思う。相撲協会は、そこの根本部分をすっ飛ばして、八百長を「非」として物事を進めている。そこを徹底的に議論しなければ、根本的な解決にはならない。きっと、相撲協会にとっては、八百長があったことが問題なのではなく、八百長がばれたことが問題なんだろう。
私は相撲に八百長があってもかまわないと思っているが、もし八百長を非とするのであれば、それは理事会を含めた相撲界の連帯責任だ。決して、特定の人たちだけの責任ではない。すべての親方および力士が、八百長が行われていたことを認識していながら、見て見ぬふりをしてきたのだから。
そんな相撲協会にとって、今こそ名誉挽回の絶好のチャンスなのではなかろうか。偽善でもパフォーマンスでもいいから、被災地の支援活動をしてアピールすればいいのにと思う。炊き出しでも何でもいい。国生さゆり氏やベッキー氏といった芸能人が被災地を訪問している映像を見たが、皆さん喜んでいた。有名人というのはそこに行くだけでも、元気を与えることができる特殊な存在である。
今からでも遅くない。理事会のメンバーを含めた全員が頭を下げて、「今までは、八百長を見て見ぬふりをしてきました。許してください。相撲協会は生まれ変わります」と謝罪すればいいのにと思う。もちろん、偽善だと言って批判する人もいるだろうけど、「もう許してやるから、がんばれ」と言ってくれる人もいるはずだ。東北地方で新しいファンを獲得できるかもしれない。「東日本大震災が発生したときに、相撲協会はすばらしい支援活動をした。さすが国技と呼ばれるだけのことはある。日本人の誇りだ」と何十年先までも語り継がれるような組織になれるせっかくのチャンスなのに・・・・・・。
結局、夏場所は興行としての通常開催を断念し、「5 月技量審査場所」して無料公開で行うことに決定したらしいが、どうせなら被災地の支援になるような方法で実施してほしい。特別に、仙台で開催するなんてことは無理なんだろうか。