許されざる者
録画していた『許されざる者』を観る。日本版ではなく、クリント・イーストウッド監督・主演のハリウッド西部劇版のほうである。主人公はクリント・イーストウッドが演じる、かつて列車強盗や保安官殺しで名を馳せた悪党ウィリアム・マニー。現在は改心してまじめに暮らしているが、過去に犯した過ちが許されることは決してない。それが、タイトルの『許されざる者』の意味なのだろうと単純に思っていた。
物語が進むうちに、これはそんなに単純な話ではないなと思い始める。この映画の中で、一体だれが許されざる者なんだ?娼婦の顔に傷を付けたカウボーイなのか?カウボーイ殺しに賞金をかけた娼婦たちなのか?街を守ると言いながら、裏で悪どいことをしている保安官なのか?それともやっぱり、賞金のために人殺しをするマニーたちなのか?映画の中で、正義だと思っていた者が実は悪だったり、悪だと思っていた者が正義に見えてきたり。何が悪で、何が正義なのかどんどんわからなくなる。
最後まで観て思ったこと。「許されざる者」というのは、要するに人間すべてを指しているのではなかろうか。つまり、人間はだれもが、内部に極悪非道性を持ってるということかなと思う。自分も含め、100%正しい人間なんていないということ。裏返すと、人間は誰しも「許されるべき者」ってことかもしれない。たとえ、自分の価値観に合わない人であっても、尊重し許しましょうということかもしれない。
『許されざる者』は、今年観た映画の中でいちばん感動した映画だったかもしれない。渡辺謙さん主演でリメイクした日本版の『許されざる者』もあるようなので、それも是非観てみたい。
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