「[教科書検定]ページ4割増「脱ゆとり」対応」によると、小学校で来春から使われる教科書のページ数は、「ゆとり」を強調した以前の教科書(02 ~ 04 年度使用)と比べて 42.8%(1,821 ページ)増えているらしい。いい傾向だ。この際、土曜日の授業も復活させたらどうだろう。小学生には、夏休み、冬休み、春休みなど、長期の休みがたっぷりあるんだから、土曜日まで休む必要ないと思う。
以前から、「ゆとり教育」の問題点として、円周率に関する話題が取り上げられることが多かった。今回の「脱ゆとり教育」の報道を受けて、いまだに「やっぱり、円周率は 3 ではなくて、3.14 と教えるべきだ」などと声高に言う人がいる。しかし、「円周率は 3 か 3.14 か」という議論は、いささか的外れな議論だと思う。そもそも円周率は 3 でもないし、3.14 でもない。大事なことは、円の大小に関係なく、円周に対する直径の比率は常に一定で、その数値は 3.1415... と永遠に続く数字であることを理解することだと思う。このことがちゃんと理解できていたら、円周や円の面積を求める計算で、円周率として 3 を使うか 3.14 を使うかは、大した問題ではないと思う。精度の差はあるが、どちらもおよその数値しか求められない。そのことがわかっていればいい。
中学生になれば、円周率はπ(パイ)で表わされるようになり、実際に数値が使われることはない。だから、円周率が 3 か 3.14 が問題になるのは、小学生の間の数年だけのことである。中学生以降の数学の世界では、円周率は本当はいくつかといったことは問題にならない。
実際のゆとり教育の現場では、円周率をどのように教えている(た)のかが気になったので調べてみた。「「円周率は3」の話はウソだった」によると、「新学習指導要領から、小学校では円周率を 3.14 ではなく 3 と教えている」という事実はないとのことだ。やっぱりなあという感じだ。実際に、文部科学省の新しい学習指導要領についてのQ&Aにも以下のように記載されている。
(Q1)
「円周率は【3.14】ではなく【3】としか教えなくなるのですか。」
(A1)
そんなことはありません。円周率については、【3.14】と教えるだけではなく、それが本当は、3.1415...とどこまでも続く数で、【3.14】も概数にすぎないということをこれまで通り、きちんと教えます。
なお、円周率については、これまでも「目的に応じて3を用いる」こととしていますが、これは、およその長さが知りたい場合には、3を用いて計算するなど、様々な状況に応じて自分の判断により、使い分けられるようになってもらいたいからです。
この事実を知って少しほっとした。今回の脱ゆとり対応がよい方向に向かうことを願うと同時に、マスコミの情報を鵜呑みにすることの恐ろしさを再認識した。
最後に余談を 1 つ。円周率について調べているときに、円周率 3.14 を鏡に映すと π(パイ)になるという内容の記事を発見した。興味がある方は、「円周率3.14に驚くべき秘密があったと海外で話題に」をどうぞ。