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俳句熱再び(自選57句)

 俳句を始めて4年になる。昨年の秋ごろからしばらく俳句熱も冷めていたのだが、同業者のある人から勧められた本(漫画)を読んで俳句熱が再燃した。『あかぼし俳句帳』という俳句をテーマにした漫画である。窓際に追いやられたとある中年のサラリーマンがひょんなことから俳句と出会い、俳句の世界にのめり込んでいく物語。

 あと、別の同業者の方から『芸人と俳人』という本も教えてもらった。芥川賞作家の又吉 直樹さんが、俳人の堀本裕樹さんの指導の下、俳句を勉強していくという内容の本である。この2つの本を読んでいるうちにまた猛烈に俳句が詠みたくなって、この3月からせっせと俳句を詠んでいる次第である。

 この機会に、過去4年間で自分が詠んだ句を振り返ってみた(拙句は「ハイ!句にしろ!」で公開しています)。詠んだ句の総数は446句。その中で自分のお気に入り9句を自選してみた(「NHK俳句」の入選句の数が9であるため、それに倣った)。一次候補で選んだ句が57句。それぞれに思い入れがあったので、そこから9句に絞るのは大変だったが、悩んだあげく以下の9句を選んでツイートした。

 しかし、一次候補として選んだ句にもそれなりの思い入れがあるので、記録のため全57句をここに記載しておくことにする。

2016年
移り気を許せや許せ揚羽蝶
初夏や立ち呑み屋から笑ひ声
妙齢の女性いそいそ昭和の日
春ともし見慣れた顔が揃ひけり
目借時この一行に大苦戦
頑固さもほどほどがよし遅桜
蒲公英の絮綿宇宙の果てと交信す
悪役を演じる女優春の闇
長閑けさやパンツのゴムの緩みたる
落椿またその上に落椿
残雪や北の大地の蒸溜所
気の利いた嘘などつけぬ四月馬鹿
雨男去りて彼岸の空あをし
塗り立てのペンキの匂ひ春の風

2015年
西洋人売りしビールはタイビール
その癖がちよつと気になる大暑かな
蝉百匹百匹ほどのにぎやかさ
自意識も溶けてなくなる酷暑かな
桜吹雪威風堂々南禅寺
春風や油の匂ひ町工場
のどけさやロボット教室開校す
ほどほどに夫婦円満桜餅
納税期各駅停車を待つてをり
着ぶくれて牛飯食らふ午後一時
神木は五百歳なり春隣

2014年
けふもまた一日延ばし曼珠沙華
犬三匹リード伸びきる残暑かな
サングラス悪い人にはなりきれず
黒日傘おしやべり済んで動き出す
尺取虫先を見すえて縮みけり
千年は一昔なり古都の春
山寺やさへづりだけが聞こへけり
古寺を背に記念撮影亀が鳴く
啓蟄や髪切りますといふ看板
ヘップバーンの写真ほほえむ春隣

2013年
極月の点滴の音ぽたぽたり
爽籟や検査結果は異常なし
秋の宵昔を奏でるギタリスト
新涼がのつたり階段降りてくる
球児らの黙祷映す終戦日
玄関で蝉の果てたる敗戦日
熱帯夜ひとりで観ている高倉健
マンションの完売告知梅雨明ける
野ざらしのカンカラ三線小暑かな
あの頃に帰つてみたしソーダ水
薫風や山のふもとの動物園
改札に急ぐ人あり遅桜
蒲公英やふる里離れ三十年
カタカナの花を寄せ植え春日和
引越しのトラック発進四月かな
午後三時神戸に春の風吹けり
パラボラのアンテナ濡るる雨水かな

2012年
冬帽子かぶせてもらひ辻地蔵
秋深し名もなき町の芸術家
秋麗や床に張り付く盲導犬
炎天のポストに投げ込む請求書
路地裏の昭和の居酒屋寒波来る

 最近、同業者の間で俳句を始めたり、俳句に興味を持ったりする人が増えているので、とても嬉しい。ことばに関わる仕事をしている者として、ことばに対しては常に敏感でありたい。そしてことばに対する感性を磨いていきたいと思っている。まだまだ初心者の域は出られていないが、これからも俳句という趣味を末永く続けていければいいなと思う(そして俳句が上手になりたい)。


4091871399あかぼし俳句帖 1 (ビッグコミックス)
有間 しのぶ 奥山 直
小学館 2015-07-30

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4087716120芸人と俳人
又吉 直樹 堀本 裕樹
集英社 2015-05-26

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