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『遠まわりの雨』で山田太一ワールドを堪能

昨晩放送された山田太一ドラマ『遠回りの雨』は、期待を裏切らないおもしろい作品だった。世渡りべたの風采の上がらない中年男の悲哀と、人間のやさしさを描いた、ちょっと切ないおとなのドラマで、久しぶりに山田太一ワールドをたっぷり堪能できた。

山田太一のドラマに登場する人物は、脇役を含めてだれもが魅力的である。渡辺謙が演じた世渡りがあまり得意ではない、とても情けない男、福本草平。岸谷五郎が演じた町工場の経営者、秋川起一とその妻、桜(夏川結衣)。皆魅力的だった。

何でもない日常の風景から、登場人物の妙な言動によって意外な方向に展開していくのが山田太一ドラマ。主人公たちと同世代の人間として、「草平も桜も、人間として超えてはいけない一線を越えちゃだめだよ。超えるなよ」と心の中でつぶやきながら見ていた。そして、その願いどおり、ふたりは最後まで一線を越えなかったが、ずっとかっこをつけてきた草平が最後の最後に我慢しきれずに、思いっきりかっこわるい姿を見せる。そして、そのかっこ悪い草平を最後に叱るのが、駅員役で登場した柳沢慎吾だったという「オチ」もよろしゅうございました。

山田太一作品と言えば、まず思い浮かぶのが『ふぞろいの林檎たち』。それ以降、山田太一氏のドラマはほとんど欠かさずに見てきた。昨年 12 年ぶりに手がけた連続ドラマ『ありふれた奇跡』もとってもよかった。山田太一氏は現在 75 歳とのこと。連続ドラマは難しいかもしれないが、こういうすばらしい作品を 1 年に 1 回くらいでいいから、できるだけ長く見せてほしいと思う。

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